音訳ボランティア養成講座レポート
(初級編)
目の不自由な方のための、朗読テープの吹き込みや対面朗読等の技術を習得する為の講座です
10回の講座の内容をお伝えします。
これは、私が内容を忘れないように覚書で残しておいたものをそのまま掲載しておりますので、
個人的に感じたことなども入っております。
ご意見ご感想などございましたらこちらまでメールください。
第1日目 平成13年1月15日(月) 10時〜12時
参加者22名で10日間の講座が始まった。20歳の学生さんをはじめ、
私のような主婦の方々そして、年配の方々といろいろな年代の方々が集まった。
最初に開校式。先生の紹介などやこの講座についての注意事項の説明。
やはり、市内では朗読サークルは「せせらぎ」だけらしい。この講座を受けられなかった方が
20人以上いたとのことで、全員身の引き締まる思いで話しを聞いた。
いよいよ講座が始まるが、まずは準備体操からだった。体はもちろんのこと、
顔面体操もした。
腹式呼吸の練習。深呼吸は気持ち良いな〜。
席に着いてからは、自己紹介の始まりです。ひとりひとりマイクに向かい録音された。
緊張して何を言ったか忘れてしまった。
基本練習。まずは声を出すことからはじめた。
谷川俊太郎の「きりなしうた」というものを一行づつ読んだ。
相手が読んだ言葉を自分で受け止めてから次に自分が読んだらいいとのことだが、
そんな余裕もなく順番に読んでいた。音訳の基本は
やはり、言葉のキャッチボールなのだそうだ。その気持ちが大切。
次に、阪田寛夫の「としめぐり しりとりうた」をリズムにあわせて読んだ。
発声練習。例の発音練習「アエイウエオアオ・・・」、抑音変性アイウエオも続けて行なった。
普段だらだらと話しているので、はっきりと発音するのはやはり難しい。
濁音、鼻濁音の発声もがんばらねば。慣れたら一息で4行5行と増やしていけるように
したほうが良いとのこと。それには、早く発音できないと難しい。練習練習。
次回までに、自己紹介を文章化してくる宿題が出た。今日行なった自己紹介には、
「あ〜」とか「え〜と」など余計な言葉が入っているので、文章化したものを次回また
録音するとのこと。
この文章を自然に読めるように練習していかなければいけない。
それと、次回はテープを持参すること。
緊張のうちにあっという間に終わってしまったが、やはり勉強するということはいいものだ。
思いがけず、高校時代の担任と以前通っていたエアロビクスのインストラクターの方々と
再会できたことはうれしかった。隣の小学校で読み聞かせのボランティアをされている
お母さん方も朗読の勉強として来ていた。お友達になれたらいいんだけどな〜。
21世紀はじめからいいことがありそうです。
以上
第2日目 平成13年1月22日(月) 10時〜12時
今日は、机やいすのセッティングやお茶の当番だったので一足早く到着した。
二日目の今日は、自己紹介を文章化して、また録音をしなおした。前回の自己紹介も
緊張したが、今回はそれ以上に恥ずかしかった。一番だったしね。
その後は、前回録音したものと今回のものを聞き比べてみた。私の癖は、「あの〜」とか
「ちょっと」などの言葉がしゃべりはじめについているのが気になった。それから、
今日は、発声練習をきちんとできなかったので、なんとなく声がしっかりでずに、
しゃがれた声だったようなきがする。
今回は、あっという間に終わってしまった。次回の分の予習をしなければ、と思った。
特に漢字を調べとこ〜っと。。。
以上
第3日目 平成13年1月29日(月) 10時〜12時
今日から本格的な練習がはじまった。
まずは、共通語で話すということ。発声から始まり、濁音、鼻濁音、アクセントの高低と変化。
鼻濁音は意識して読んでみるとなかなか難しい。舌がもつれそうになる。
滑舌練習(坊主が屏風に〜など)も、言葉の意味をつかんで自分なりにイメージしながら
しゃべることが大切だとか。
”この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てたかったから、竹立てかけたのです。”
う〜ん難しい。歯が痛かったのでしゃべるのもやっとだったのに。
呼吸調節練習という意味のある言葉を一息で読むものもあった。
”となりのばあさんが寒三十日 寒念仏を申しましょうともうしましたが
申したことやら、申さぬことやら、申さぬことやら、申したことやら、
申したら申したと申しましょうが、申したともうさぬからには、
申したと申しませぬ。”これを一息で。。。
これは、練習をすると舌が回るようになり、苦しいですが気持ちよくできるようになりました。
”寿限無寿限無〜”もありましたよ。
その後、練習文を使って、話すような感じで読む練習。文章の山を考えて。。。
ここで、私は、自分の癖を見つけてしまった。文章中のてにをはや、文末(〜ました。など)に
力が入ってしまうのだ。声を出して読むとホントによく解る。意識していないと、つい語尾が
きつくなる。絵本の読み過ぎだろうか。。。
文の頭を少し高い音から始めることで自然に最後の方が弱まり、リズムがつかめてきた。
普段しゃべっているような感じで良いと言われるが、きっと普段も「〜がー」とか「〜をー」
なんていう感じでしゃべっているのだろう。気をつけなければと反省。。。きれいな話し方が
できるようになったらいいな〜。
同日 1時〜3時
特別講演 「音訳ボランティアとは」
講師: 埼玉県立川越図書館障害奉仕課 佐藤聖一
全盲である佐藤さんが、ボランティア、音訳について解りやすく、具体的に
お話してくださいました。
1.ボランティアの目的と心構え
・障害のあるなしに関係なく、社会のなかで健常者とともにあたりまえに生きて行くことを
目指す。(精神的な面でも)
・生活上で困ることをサポートするのであって、なんでもかんでも手伝えばいいという
ものではない。(例えば、洋服も自分がしまっていれば、着るときも自分で探して
着て行くことが出来る。)
・ボランティアは、個人の責任で行なう。どこまでサポートしていくかは個人の責任である。
2.障害者と接するポイント
・一次障害とそれから起こる二次、三次障害の違いを知る。
(例えば、目が見えないから字が書けない。字が書けないから働けない。など。)
・障害の程度と生活能力など個人差がとても大きいので、
それを知ることが大切。
・お互いに対等な立ち場で付き合う。「やってあげる」から「共に行なう」へ
人間は、いろいろなでこぼこがあって当たり前なのだから、それを補いあって
ゆける社会になってゆけたら。。。
・お金をかけて施設を作ったり、直したりするだけでなく、心のバリアフリーが大切。
3.朗読ボランティアの活動
・対象=目が不自由な方はもちろんのこと、寝たきりの方、手が不自由でページがめくれない
かた、入院患者など。目の不自由なかた以外にも利用者はたくさんいそうである。
・朗読するものの範囲=書籍はもちろん、広告、時刻表、手紙、メニューなど広範囲にわたる。
そして、信頼度によっては、通帳などのような個人的なものも依頼される可能性あり。
・他のボランティア・機関等との協力、紹介
名作等のすでにどこかでテープになっているものは、探して貸し出してあげ、他のもの
(新しいもの、その人にしかできないものなど)に手をつけたほうがいい。
視覚障害者にとってのサービス(ガイドヘルパー、福祉タクシーなど)を紹介してあげる
ことも大切。
4.ボランティアと利用者を結びつける為に
・ボランティアしたいかたと利用者をどのように、適材適所に割り当てて行くかが
これからもっと必要になっていく。(利用者にもまだまだいろいろなサービスがあることなど
知られていないことも多い。)
5.ボランティア(福祉)朗読と図書館朗読との違い
・図書館のほうは、図書館にあるすべての書物を朗読。
ボランティアのほうは、利用者の欲しい情報(いろいろな物)。
お互いに利用しあったほうがいいのではないか。
6.どんな朗読が利用者にとってわかりやすいか
・視覚障害者にとっては、読み手が先に感情移入してしまうような劇風なものは
聞きにくい。聞くほうが想像できるように、あまり誇張しないほうがよい。
読み方によって雰囲気が押し付けられるのは避けたい。
・意味のまとまりごとに読む。息継ぎ、高低イントネーションなどとても大切。
一回聞いてわからないものは良くない。(テープを巻き戻して聞きなおすのも大変。)
・相手がいることを想定して、話しかけるように読む。(読み口調にならない。)
・読み調べ、下調べ、下読み(黙読)はとても大切。間違いのない朗読をする。
対面朗読などは、臨機応変に。辞書を用意しておくこと。
・良い音で録音する。マイク,カセットデッキの操作方法も大事。
最後に、これからはテープと同時にパソコンで作成するCDも利用者が増えそうだとのこと。
CDの再生機も貸し出しして、すでに利用している方もいらっしゃるとのこと。
*資料として「視覚障害者にとって必要なサービス及びボランティア活動」
1.朗読関係
・図書館での対面朗読・録音図書製作
・ボランティアによる音訳・録音資料製作
・家族やごく親しい友人による音訳
・きわめてプライベートなものの音訳
・その他電話による朗読サービスなど。
2.行動の自由のためのもの
・ガイドヘルパー
・福祉タクシー
・日常生活をサポートするサービス
3.墨字訳(代筆)
・ボランティアによる墨字訳
・家族による墨字訳
・きわめてプライベートなものの墨字訳
4・点訳関係
・ボランティアによる点訳
・点字図書館による点訳
・公共図書館による点訳
・点字の墨字訳音訳
5.コンピュータ関係
・音声ワープロ・音声パソコンの講習
・パソコンボランティアの活動
<感想>
視覚障害者のかたのお話をじっくり聞くのははじめてだったので、
すべてが勉強になったという感じです。
ノーマライゼーションということの意味からはじまり、ボランティアのあり方、
障害者の方々にも個人差があり、手助けをしたほうがいいこととしないほうが
いいことがあることも知りました。頭の中では解っていたのですが、やはり、
今までは自分がやってあげるという立場に立って物を考えていたような気がする。
これからは、佐藤さんがおっしゃっていましたが、障害者とボランティア・機関などを
もっともっと身近に結びつけて行くことが大切だと思いました。そして、障害者の方が
より安全に社会、街に出て行かれるような手助けがしたいです。
以上
第4日目 平成13年2月5日(月) 10時〜12時
練習文を使い、聞いている相手を意識して文の構成を考えて読む練習。
ひとつの文章でも、普通に読んでいるつもりでも強調しなくても良い言葉を
立ててしまいがちだ。立てる(大切な言葉など)のは一文にひとつぐらいで良いのだそうだ。
文中の点はあまり気にせずに、まとまりごとに息をついたほうが聞き手が聞きやすい
とのこと。〜のこと、と言う部分を立ててしまう方が多くいらっしゃった。私も、意識しないと
つい語尾が強くなる。かと思うと「〜したのです。」と言う部分は早くしゃべろうとすると
「〜したんです。」となっているような気がした。口がまわらずに「の」が聞こえない。
ひとりひとり先生にご指導を受けるのだが、大変緊張した。声は上ずるし、震えてしまう。
こんなことで、録音などできるのだろうか?
以上
同日 13時〜15時
音訳をするまでの手順の説明を受けた。
下調べ(読み方、人名、地名など間違えないように)をしてから、その文章のテーマなどを
考えながら意味の大きなまとめをして、また小さくまとめるなど細かく区切って行く。それを
よく黙読をしてから、声を出して読む。間も大切なのでよく考える。最初に声を出すときも
すでに心を気持ちをいれて入らねばならない。気持ちを高めるのは、なかなか難しい。
次々週録音をするので、課題文の練習をした。二つのうちどちらかを読むとのこと。
以上
第5日目 平成13年2月19日(月) 10時〜12時
課題文を一人づつ練習。どきどきでした。
同日 13時〜15時
朗読サークルの方がいらっしゃって録音機器の説明をしてくださった。
その後、いくつかの班に分かれてひとつの文章を録音した。録音は、サークルの方が
手伝ってくださり、少し読み方なども助言してくれた。先輩の言葉はありがたい。
何ヶ所か詰まったところなどはあったが、無事に録音完了。
来週みなさんのものをきけるのだ。楽しみだけど、自分のはやはりまだ恥ずかしい。
以上
第6日目 平成13年2月26日(月) 10時〜12時
課題文のテープを聞いたが、最初の頃の自分のものとの違いはいまいちわからなかった。
なかなか自分のものは、客観的に聞くのは難しい。でも、他の方は、一段とうまくなっているようで
うらやましい。先生の厳しさも今となってはありがたいものです。絵本を読むときもよく
読みこんで最初の一文字を見ただけですらすらっと文章がでてくるようにしたいものだ。
私は、絵本の場合は比較的気持ちを載せて行くのはうまいほうかなあと思っていたいたが、
ただ単に大げさに演劇風に読めばいいというものではなく、皆さんいわく淡々としたなかに
伝えたい何かを語っていくのがいいそうなのだ。難しいな〜。
以上
同日 13時〜15時
特別講習「利用者の立場から」
途中から視覚障害者となった方が、利用者の立場からいろいろとお話してくださいました。
最初は、現在購読されている雑誌、読み物などのテープでどのようなものを読んでいるか
紹介してくださいました。聞いていても覚えていられないぐらい多くのものをテープやCDで
とりよせているようです。聞くのも大変だそうです。
それほど多くの情報をとりいれているかたでも、やはりタイムリーな話題というものは
どうしても無理なようです。例えば、新聞、折込広告などその日、その日のものは難しい。
そして、音訳とは少し離れますが、普段の買い物、本屋さん(本の題名がよめない)などなど
私達が普段なにげなくしていることが困難だということを改めて知りました。
そして、音訳に戻りますが、注意してほしいことをいくつか。
雑音があると気をそがれることが多いので、録音状態には、気を配って欲しいとのこと。
ページをめくる音なども拾ってしまうので少しでもなにかあったらなるべく取りなおしてほしい。
人名・地名など誤りのないように下調べは、充分に。誰でもが知っているようなことは
特に間違えては困る。聞いているほうは、そのまま覚えてしまうので後で大変なことになる。
同音異義語、本の題名、漢字など難しいものや紛らわしいものには、短く端的な意味の
注意書きをつけてもらえるとありがたいとのこと。
テープについては、最初に(A面、B面ともに)目次をつけるとどんな内容が入っているか
わかりやすい。そして、その章と章の(まとまりごとに)3,4秒の空白をあけてもらうか
ピーという音(早送りしても解る音)をいれてもらうと頭だしがしやすいとのこと。
従来のテープからこれからは、CDも増えて行くとのこと。
「音訳ボランティアの実際」ということで
音訳グループ「せせらぎ」が普段されている活動を簡単に再現してくださいました。
ひとつのものを数人で分担し、録音したテープを他者に聞いてもらい間違いを指摘してもらって
再度録音しなおす。そして、編集する。
最後に10回のうち8回以上出席したかたの修了証授与をおこなう閉講式が行なわれた。
以上
無事に10回(6日間)の講座は終わった。久しぶりの子ども抜きの学生気分でちょっと
いい経験でした。そして、障害者のかたのこと、障害者のかたとの関わり方など今まで
自分なりに考えていたものとは、少し違い、改めて教えていただいて大変勉強になりました。
音訳も勉強しながらどんどんと実践をつんていって、みなさんのお役に立つものを
作っていきたいと思います。いろいろな分野の勉強にもなるのでこれからが楽しみです。
本当に千木良先生はじめ、「せせらぎ」の方々には大変お世話になりました。
以上
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